イノベーティブなスピリットの火付け役!

菅野浩さん(リストホームズ株式会社 代表取締役社長)
荒田康泰さん(リストホームズ株式会社 営業部課長代理)
田邊千香子さん(リストホームズ株式会社 営業部商品企画課主任)

plan-A・相澤毅の最大の強みである「不動産・まちづくり」コンサルティング業の礎になっているのが、横浜発の不動産デベロッパーであるリストグループでの経験だ。リストグループで「全棟ゼロエネルギー住宅」の戸建て開発などに関わってきた相澤を、社内にいながら「ビジネスパートナー」として遇してきた直属の上司、それがリストホームズ株式会社代表取締役社長の菅野浩さんである。相澤が同社で育ててきた荒田康泰さん、田邊千香子さんのインタビューも交えて、相澤の原点を探る。

#When?/Where?

「日本初」に挑戦していった日々

菅野浩さん(以下、敬省略): 相澤さんがリストグループに入社したのは2004年のことで、彼は戸建分譲事業の担当、私は戸建分譲事業と仲介事業の責任者という関係でした。 2013年に横浜市旭区で127棟の戸建分譲開発をおこなう「リストガーデンダイヤモンドパーク」という事業がありました。ダイヤモンドパークは、すべてが当時の初モノづくしで、全棟にHEMS(エネルギー使用量の見える化をする機器)と太陽光発電システムを標準装備し、防犯、防災、耐震、耐火など、当時の技術や経験を結集して日本最大級のエコタウンをつくってみようというプロジェクトでした。彼はそのプロデューサーとしてプロジェクトを成功に導きました。 私と相澤さんに共通しているのは、「日本初」「誰も成し遂げられなかったこと」に挑戦するのが好きである、ということです。リストガーデンダイヤモンドパークは当時の近隣相場から1,000万円ほど高い物件だったのにもかかわらず、全棟完売、7年経った今でも当時の価格を維持したまま取引されています。竣工時に高く売れるのは当たり前で、時間が経っても色褪せないまちづくりを実行した。彼はその時からそれを想像して、コンセプトを練り上げて実行したのです。

リストホームズ株式会社代表取締役社長の菅野浩さん。元は相澤の直属の上司であり、昔も今も「ベストパートナー」

荒田康泰さん(以下、敬省略): 私は現在、戸建分譲住宅の設計を担当しています。2010年8月に入社した当時は、設計の私と、企画の相澤さんとでは接点がなかったのですが、社内に分野横断的に様々な課題をつないでいくプロジェクトが立ち上がった時に私も参画し、そこで中心となってとりまとめているのが相澤さんでした。ご一緒した「注文近隣対策プロジェクト」は、戸建の注文住宅を販売する際に、近隣に住んでいらっしゃる方々をいかに集客していくかというものだったのですが、参加しているメンバーが右も左もわからない状態でやるなかで、そのプロジェクトをやる目的設定、やる手順から結論まで導いていく手腕が、ともかくすごいなあ、と感じました。

 

田邊千香子さん(以下、敬称略): 私は2016年の中途入社の社員です。入社面接の時の面接官が相澤さんという出会いでした。以前の職場では設計をしていたので、ポートフォリオを持って自分の実績をプレゼンするぞ!と意気込んでいたのに、質問の口火を切った相澤さんに「趣味は何?」と聞かれて、一瞬で頭が真っ白になったのを覚えています。

そんな「不動産屋のイメージとは異なる変な人」のもとにつき、常に全速力で動き回り、相手の名前と顔が一致しないくらいにたくさん名刺交換をし、常に頭の中はフル回転でした。相澤さんの背中から、どのように一つのプロジェクトを構築し、実践し、実働していくのかを、常に学ばせてもらっています。

リストホームズの田邊千香さん(左)、荒田康泰さん

#What?

プロデュース、プロジェクトマネジメント、人材育成まで

菅野: 2016年からは相澤さんには横浜市戸塚区の「リストガーデンnococoタウン」という全160棟の戸建分譲事業のコンセプト立案、プロデューサーという立場で、開発当時は社員として、独立後は顧問として関わってもらっています。nococoタウンは日本で初めて省エネルギー性能表示指標「BELS」の最高ランク五つ星を取得し、全棟太陽光発電システムや外出先からスマートフォン経由でエアコンや照明のオンオフをコントロールできるインテリジェントホームの標準装備、横浜薬科大学との産学連携や、地域の医療・子育て支援団地との連携、コミュニティ農園など、省エネ性能でも暮らしやすさにおいても日本初の要素がたくさんあるプロジェクトです。

 

荒田: 相澤さんと組んでnococoタウンのなかにあるnococo ハウスの設計を担当しました。私は建築家の佐々木龍郎さんが立ち上げた基本構想や計画を、実施の計画に落とし込んでいく役割で、現場の状況を伝えて細かく確認しながら、また計画を練り直したり……という形で進めています。nococo ハウスに携われたことは、私にとってたいへん大きな勉強になりました。木造の1間180cmというスパンではなく、大きな柱スパンや、関東エリアではなかなか見ない真壁づくり、採光をよくするための窓の計画や内装など、技術的に難しいことも、社内設計にはない視点で提案してくださり、それを実現することで設計者として飛躍できたと思います。

相澤は荒田さんを「執着心が強く、一度はまると彼の右に出る人はいないくらいに中身を掘り下げてくる。スペシャリストになれる逸材」と評する

#How?

調査、未来予測、実装。緻密な作業からイノベーションが生まれる

田邊: nococoタウンはリストグループにとっても、日本の戸建分譲住宅の世界においても、とても大きなプロジェクトです。私が入社した頃はすでに実施計画に入っていて、佐々木龍郎さんによる街並み形成や、東急グリーンシステムさんの緑化デザインの案に対して、リストグループの設計部隊が協議しながら実施プランに落とし込んでいくところでした。nococoタウンは社内だけでなく、様々な外部協力者の力を借りてつくっているので、一つのプロジェクトを構築していくには、どのような順序で、どのような話し方で協力していただくべきなのか、外部だけでなく社内スタッフとどう連携していくのかなど、相澤さんにはプロジェクトマネジメントの勉強をゼロから教えていただいたと思っています。

 

菅野: リストグループの戸建分譲事業での「プロデューサー」という立場は、9割が安価な建売住宅という市場のなかで、いかに付加価値をつけ、お客様が相場を度外視してでもほしくなるような、これからの世代に対して必要なものや社会性のあるものをつくるための、全ての業務を統括します。最初に「こうありたい」というふわっとしたテーマが何なのかをまず議論し、相澤さんが調査し、未来予測をしたうえでの提案を受け、最終的には私が決定する。相澤さんは常に想定以上の提案をしてきて、そこには必ずイノベーション的な要素があります。若手社員に対して、住宅業界のなかでイノベーションを起こせるようなスピリットを相澤さんに植えつけてもらう、というのも、独立後の彼に頼んだ大きな役割の一つです。

#Why?

変態で職人で天才……? 上下なく対等な関係が「成功」を生む

菅野: 相澤さんは、一言でいうと「変態」ですね(笑)。世間的な意味での変態ではなくて、率直に言えば、物事に対する執着心が強い。嫌いなものは嫌い、周りがとやかく言っても全く我関せず。好きなものは徹底的に深掘りして、自分の本能とあらゆるデータを駆使して、成功するまでやり続ける……。まるで子どものまんま大人になっている人です。

もう一つ「職人」という面もあるように思います。プロジェクトを成功まで導いていくために必要な、外部の人の知見を一気に集められる力がある。

私と彼はともかく、本音をぶつけ合う間柄で、忖度も上下感覚もなく、プロジェクトがよくなるためいどうしたらいいのか? を徹底的に議論していました。リストグループの社員時代から、上司とも部下とも違う、まさに「ビジネスパートナー」といいう関係性だと思います。

 

荒田: 相澤さんは「天才」ですね。将来を見据えプロジェクトを作り上げる発想が本当にすごくて、尊敬しています。客観的に多角的な視点で判断してものごとを引っ張ってくださるので、設計に必要な視点を学ばせてもらっています。

 

田邊: 私は入社したその日から、相澤さんと一緒にいろいろな外部の方とお会いして、それぞれの方の得意とする分野を集めて一つのプロジェクトを作り上げていったら何が起こるのか、それを身近で体感させてもらえました。相澤さんには「情報を制するものは人生を制する」と常々言われており、様々な場面でおもいだしては、インプットすることに励んでいます。外の方々から社会人としてのノウハウを教わり、世界が広がり、私の人生が変わりました。何より強い精神力を養えたんじゃないかなと思います。

「菅野さんは、全体を束ねていくマネジメント能力に優れていて、全体を俯瞰して方向性を決めたり、判断することに長けています。そこには社員の人生や経営的な判断などの苦しさも、一度は全部背負っていく覚悟のようなものがある方」(相澤)